砂地にヤシャハゼを見つけた。
カメラを構えて近づいたら、その瞬間に巣穴へ引っ込みました。
- 近づく前に隠れてしまう
- やっと寄れたのに、白飛びして使えない
- 構図を直そうとすると、いなくなる
このように悔しい思いをした方も多いと思います。
結論から言うと、コツはとにかく動きを少なくすることです。
そのために、近づく前にすべての準備を終わらせておきます。
隠れさせずに撮れるということは、ハゼにストレスを与えていないということでもあります。
一緒に潜るメンバーにも迷惑がかかりません。
逆に、ワイド中心で撮る方には当てはまらない内容です。
この記事を読めば、ハゼを逃がさずに寄れるようになります。
実際に段階的に近づいた作例と、遠い写真をレタッチで補う手順まで紹介します。
ハゼを撮影する3つのコツ
砂地のハゼは、大きな動きをするとすぐに隠れてしまう相手です。
だから、なるべく動かずに慎重に行動する必要があります。
1つずつ説明していきます。
近づく前にカメラの設定を決める
ハゼを見つけたら、まず十分に離れた場所で設定を確認してください。
近づいてから調整していると、その動きだけで隠れてしまいます。
砂地のハゼには、もう一つ厄介な条件があります。
白い砂がレフ板のような働きをするのです。
通常の設定だと明るくなりすぎて、こうなります。

せっかくうまく近づけても、これでは台無しです。
ここから慌てて設定やストロボを調整していたら、シャッターチャンスを逃します。
最適な距離まで近づいたら、あとはシャッターを押すだけ。
その状態を、事前に作っておきましょう。
設定を合わせる被写体を探すのが大変では?
被写体は必要ありません。
何もない砂地を撮るだけで十分です。
大事なのは露出(明るさ)の設定だけだからです。
砂が白飛びしないように撮れれば、それで整っています。
撮影しながら少しずつ近づく
初めてヤシャハゼやネジリンボウを見ると、そのかわいさに一気に近づきたくなるものです。
ただ、突然向かってくる大きな人間に、ハゼは敏感に反応します。
動いていると認識されないくらい、ゆっくり近づいてください。
このとき、証拠写真でも1枚撮れていると心に余裕が生まれます。
余裕があるから、ゆっくり近づけます。
初めから理想の距離を狙わないこと。
少し近づくごとに、1枚ずつ撮っていきましょう。
少しずつ近づきながら撮影すると、こんな流れになります。

初めはすごく遠くて、ストロボの光も届いていません。
それでも、ストロボの向きや強さは変えてはいけません。
ここで変えると、近づいたときにまた設定を戻す必要があります。
その動きで、ハゼは隠れてしまいます。
この段階では写りを気にせず、撮影と接近の繰り返しです。

様子を見ながら、さらに近づきます。

共生しているエビの動きも見て、警戒されていないか確認します。

ここまで近づけました。

トリミングも加工もしていない写真です。
近づく前に設定を決めているので、シャッターを押すだけでここまで撮れます。
この距離でベストになるように、カメラとストロボを設定していました。
このときの機材と設定
- カメラ:Canon EOS 80D
- レンズ:EF-S 60mm F2.8 マクロ
- 設定:ISO 100 / F5.6 / SS 1/250
- ストロボ:S-2000 2灯(マニュアル発光 −4.5EV)
シャッターを切る指以外、動かさない
ここまで書いてきたとおり、とにかく動かないことが重要です。
作品として仕上げたいと思うと、構図や露出を変えて撮りたくなります。
ところが接近した状態でカメラを大きく動かすと、ハゼは隠れます。
一度ファインダーから目を離して設定を変えるのも同じです。
基本はシャッターを切る指以外、動かさないことです。
慣れてくると、ファインダーを覗いたまま絞りやシャッタースピードを変えられます。
撮影した画像を見なくても、適正露出に合わせられるようになります。
そこまで来れば、近づいた状態でも設定を自由に変えられるはずです。
できないうちは、ピント合わせだけに集中してください。
画像を見ずに適正露出へ合わせるには、マニュアル設定の基本が必要です。
こちらの記事で手順を解説しています。
レタッチで補う
いい写真を撮りたいからと強引に近づくと、ハゼは隠れます。
距離が遠くて鮮明でない、構図がいまいち。
そんな写真でも、レタッチである程度は補えます。
後で何とかなると思えれば、気持ちに余裕ができます。
強引に近づくこともなくなるので、レタッチは邪道と思わず積極的に使いましょう。
遠くから撮影した写真を補正する
先ほど近づきながら撮影した3枚目を補正してみます。

まだ距離があり、ストロボの光が十分に当たっていません。
これがレタッチでこうなります。

トリミングで拡大したあと、次の設定をしました。
- 露光量 +0.80
- かすみの除去 +20
- 自然な彩度 +25
- 色温度 7600K
- 色かぶり補正 +129
カメラの設定は、近づいて撮れたときを想定しています。
だから遠い位置では暗く写るので、露光量を上げました。
遠くからの撮影でモヤっとした感じは、かすみの除去で補正しています。
ストロボが当たっていないため、色は失われた状態です。
彩度・色温度・色かぶり補正で、本来の色を再現しました。
構図もレタッチで調整する
近づいた状態でカメラを動かすと、ハゼは隠れます。
だから構図も、レタッチで調整します。
たとえば、この記事のトップに使ったこちらの写真。
ヤシャハゼの幼魚とネジリンボウが、ちょうど交差した瞬間です。

この写真、トリミング前はこんな状態でした。

構図のバランスが悪いですよね。
撮影時はピント合わせに集中し、余計な動きをしないようにしていました。
だから、ここは仕方ありません。
ヤシャハゼの目にピントを合わせるため、ヤシャハゼを中心に置いています。
そのうえで、ネジリンボウがちょうどいい位置に来た瞬間を狙いました。
両方の目にピントが合っていて、狙いどおりです。
ピントさえ合っていれば、多少トリミングしても問題ありません。

被写体が縦長なので、この写真は縦位置が合います。
横位置を縦にトリミングするのは強引では?
全然問題ありません。
むしろ撮影時にカメラを縦横へ大きく動かす方が問題です。
縦位置で撮るにはストロボの位置も変える必要があります。
この距離でやったら、確実にハゼはいなくなります。
その場で完璧を狙うより、確実に1枚残す方が強いですよ。
よくある質問
どのくらいの時間をかけて近づきますか?
時間より、相手の反応で判断してください。共生するエビの動きが止まったら、警戒されているサインです。
隠れてしまったら、出てくるまで待てますか?
出てくることもありますが、警戒は解けていません。粘るより、別の個体を探した方が結果は早いです。
白飛びを防ぐには、どこを変えますか?
ストロボの発光量を下げるのが基本です。近づく前に、砂地で白飛びしないところまで落としておきます。
【まとめ】近づく前にすべて終わらせておく
うまく近づければ、いい写真が撮れます。
ハゼにも、一緒に潜ったメンバーにも迷惑がかかりません。
最後に一つ。
離れるときも、ゆっくり慎重に離れてください。
慎重に近づいたのに、離れ際に思いっきりフィンキックしては意味がありません。
では、良いダイビングを。
>>水中写真の撮り方。撮影で決めること、レタッチで直せることを分けて解説

