撮った写真を並べてみたら、去年とほとんど同じ。
被写体も、角度も、明るさも変わっていませんでした。
- いつも同じような写真になってしまう
- 目についた被写体をどう撮ればいいか分からない
- 作風を広げたいが、きっかけがない
このように感じている方も多いと思います。
結論から言うと、マンネリの原因は視点が固定されていることです。
被写体を変えなくても、視点を変えれば別の写真になります。
今回の題材は、ホンダワラが作る海藻の森です。
5つの撮り分けを、作例つきで紹介します。
逃げない被写体なので、練習にも向いています。
逆に、生き物の生態写真を狙う方には遠回りな内容かもしれません。
この記事を読めば、目の前の被写体から5通りの写真を引き出せます。
新しい作風を見つけるきっかけになればうれしいです。
ホンダワラが作る海藻の森
ホンダワラは、水面に向かって大きく伸びる海藻です。
5月ごろが最盛期になります。

以前は伊豆や関東のポイントで、邪魔なくらい生えていました。
最近は減ってきています。
ダイバーにとっては、やっかいな面もある海藻です。
体や器材にからまるうえ、波があるときは揺れる姿を見て酔うこともあります。
それでも、海の生き物にとっては大事な役割を果たしています。
貴重な存在ということもあり、被写体として注目されることも増えました。
ただ、どう撮っていいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
上の写真は「海藻の森」をイメージしました。
水面まで伸びる様子を広くとらえ、魚の群れも入れています。
この海藻の森が、小さい魚たちの住処になっている。
その様子を表現しました。
【視点1】水面に映ったホンダワラと空を一緒に撮る
波がなく、水面が静かなときにぜひやってほしい撮り方です。

ダイビングをしていると、視線が下に行きがちです。
少しだけ、視線を上げてみてください。
水面が穏やかなときは、映り込んだホンダワラと空を一緒に入れられます。
ただし簡単ではありません。
浅いところでホンダワラに絡まりそうになりながらの撮影になります。
バタバタすると、自分が作った波で水面が揺れてしまいます。
海が穏やかな日は絶好のチャンスなので、ぜひ挑戦してみてください。
【視点2】半水面で撮る
次は、さらに視点を上げて半水面で撮ってみました。

水中の海藻の森と、陸上の木々の森。
2つを1枚に入れて、豊かな自然を表現しました。
半水面で撮るなら、なるべく広角のレンズが向いています。
ポートも大きい方が撮影しやすいです。
よく見かける写真ですが、やってみると結構難しいところがあります。
ポートに着いた水滴が写り込み、陸上と水中のバランスも取りにくいのです。
その場で確認しようとすると、それだけで時間が終わりますよ。
【視点3】海藻に住む魚をメインに撮る
海藻の森は、小魚にとって絶好の隠れ家です。
周りを泳ぐ群れを見ることができます。
そんな魚たちをメインにしたのがこちら。

ホンダワラは背景として使うイメージです。
浅場なので、光を浴びたホンダワラが黄色く輝きます。
青一色になりがちな水中写真を、いつもと違う雰囲気にできます。
難しいのは、魚の密度です。
流れがあまりないため、まとまって密集した感じになりにくいのです。
写真にすると、目で見たときより魚が少ない印象になります。
だからフィッシュアイのような超広角より、15-35mmくらいが向いた被写体です。
魚が多い感じを出しやすく、撮影も楽になります。
【視点4】遠近感を意識して撮る
ホンダワラの中に入っていくと、本当に森の中にいるような感覚になります。
奥へ奥へと生い茂る森を進んでいくイメージで撮りました。

奥へ続く様子を出すために、要素を3つの距離に置きました。
- 近景:画面左上に前ボケのホンダワラ
- 中景:中央手前に魚をアクセントとして
- 遠景:中心に奥まで続く空間
近景・中景・遠景に要素を配置すると、遠近感のある写真になります。
さらに画面下側を暗く落とし、上部を明るくしました。
光のグラデーションでも、空間の広がりを表現できます。
絵画のような神秘的な雰囲気になり、自分でも気に入っている1枚です。
【視点5】大胆に白飛びさせて透明感を出す
最後は、より大胆な撮り方です。
水面を覆うホンダワラの下から、空に向かって撮影しました。

明るい空を背景にして、完全に白飛びさせています。
和紙の模様のような雰囲気になりました。
注意点が1つあります。
水中の設定のままだと、ホンダワラまで白飛びしてしまいます。
いつもより絞り(F値)を大きくして撮ってください。
透明感を出すコツは、距離を詰めることです。
最短撮影距離まで近づき、水面にカメラが出そうなくらいで撮ります。
ホンダワラとカメラの間に入る海水が減るほど、透明感は上がります。
よくある質問
ホンダワラがない海でも応用できますか?
できます。水面まで伸びる被写体なら、同じ5つの視点が使えます。
ソフトコーラルや群生する海藻でも、視点を変える発想は変わりません。
ストロボは使いますか?
浅場で光が回るので、自然光を活かす場面が多くなります。特に白飛びを狙う撮り方では、ストロボは邪魔になります。
1本のダイビングで全部試せますか?
欲張らない方が結果は良くなります。1本で2つまでに絞ると、それぞれを詰められます。
【まとめ】被写体ではなく、視点を変える
普通に潜っていると素通りする、ただの海藻です。
それでも視点を変えれば、1本まるごと楽しめる被写体になります。
魚と違って逃げないので、写真の練習にもぴったりです。
次のダイビングでは、まずいつもと違う高さから1枚撮ってみてください。
それだけで、写真は変わり始めます。
>>水中写真の撮り方。撮影で決めること、レタッチで直せることを分けて解説
