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水中写真はマニュアル一択 ! マニュアルモードの設定方法

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カメラのモードはオートしか使わないという方も多いかもしれませんが、
一眼カメラの場合、水中写真ではマニュアルモード一択と言っても良いほどマニュアルモードを使いこなすことが重要になってきます。
この記事ではマニュアルモードがなぜ必要なのか、どのように設定すれば良いのかということを説明します。

マニュアルモードとは

メーカーによって呼び名は違いますが、カメラのモードは主に次の4つがあります。

  • Pモード(プログラムオート)
  • Tvモード(シャッタースピード優先)
  • Avモード(絞り優先)
  • Mモード(マニュアル)

上記はCanonの場合ですが、他のメーカーも同様の設定があるはずです。

これらのモードは何を意味しているかというと、写真の明るさ(露出)を決める設定をどうやって決めるかということです。
写真の明るさは、シャッタースピード絞りISO感度で決まります。
これらの設定のうちどこまでを自動でやるかということがモードの違いで変わってきます。

 Pモードは、カメラが自動ですべて決めてくれるので、シャッターを押すだけで適切な明るさで撮影できます
 Tvモードは、シャッタースピードだけ自分で決めて、他はカメラが自動で設定します
 Avモードは、絞りだけ自分で決めて、他はカメラが自動で設定します
 Mモードは、シャッタースピードと絞りを自分で決めます

プログラムオートが自動でいい感じにしてくれるなら、プログラムオートだけ使えばいいのでは?
と思うかもしれませんが、水中という特殊な条件で自分が目指す写真を撮るためにはマニュアルモードが必要になります。

なぜマニュアルモードを使うのか

写真の明るさはシャッタースピード、絞り、ISO感度で決まりますが、
同じ明るさの写真でも、設定値によって全く違う写真になります。
ざっくり言うと、
 シャッタースピード:動いている被写体をブレずに撮るか
 絞り:背景をぼかして撮るか
ということが決まります。
シュノーケリングのように激しく泳いでイルカなどを撮影する場合は、ブレないようにシャッタースピードを上げる必要があるし、マクロの撮影でふんわりした雰囲気の写真を撮りたいときは、絞りを開放して撮影します。
撮影する環境や表現したい意図に応じてシャッタースピードと絞りを変える必要があるので、マニュアルが必要になってくるのです。
ここで、ある程度使ったことがある方は、イルカの時はシャッタースピード優先にして、ふんわり撮るときは絞り優先にすればいいのでは?
と思うでしょうが、水中ではそうはいかない場合があります。

ワイド写真の場合

イルカをブレないように撮るためにシャッタースピード優先で撮影する場合について考えます。
ブレずに撮影するためにシャッタースピードを1/250に設定したいと考えたとします。
陸上であれば、単純にシャッタースピード優先モードで1/250に設定するだけで問題ないですが、水中ならではの問題があります。
水中は、陸上より暗いということと、カメラがハウジングに入っているということが問題になり、単純にシャッタースピードだけ設定すれば良いということにはなりません。
1/250に設定したとき、十分な明るさがない場合は、カメラ側が適正露出を確保するために絞りを開放に設定します。
絞りが開放ということは、背景ふんわり系の写真ということになるのですが、背景だけでなく、被写体にピントが合う範囲も狭くなり、ピントが合っていない写真になりやすいです。
さらに、ワイド撮影のハウジングはドーム型のポートがレンズの前にありますが、このポートと水の境界がレンズのような役割になり、カメラに入ってくる光が屈折します。
これにより、写真の四隅がぼやけた感じの写真になります。(周辺流れと言われる現象です)
周辺の流れは、絞り値を大きくして絞って撮影すればある程度抑えることができます。
絞り開放だと流れが顕著になるので、ワイド撮影では絞り開放で撮影するのは良くありません。
私は、ワイドの時は、絞りを最低でもF4.5以上にしています。
シャッタースピードと絞りをコントロールする必要があるので、マニュアルモードが必要になります。

F5.6, SS 1/250, ISO 320

マクロ写真の場合

マクロの場合、背景をぼかしたふんわり系で撮りたいとか、魚の特徴がわかるように広い範囲にピントが合った写真にしたいと考えると思います。
こういうときは、絞りを変えればいいので、絞り優先モードが良さそうですが、やっぱり絞り優先モードだとうまくいかないことがあります。
絞り優先にすると、シャッタースピードはカメラが決めますが、暗い水中では、シャッタースピードが遅くなりやすいです。
ミリ単位でピントが合うことが求められるマクロ撮影では、ちょっとした手振れが結構目立つので、シャッタースピードが遅くなりすぎるのは避ける必要があります。
また、急にレア生物に遭遇したり、生態の決定的瞬間など、意外と早いシャッタースピードが求められる場面があります。
ワイドと同じように、マクロでもシャッタースピードと絞りをコントロールする必要があるので、マニュアルモードが必要になります。

F3.2, SS 1/100, ISO 200

マニュアルモードの設定方法

マニュアルが難しい理由

マニュアルモードを使ったことがある方は、白飛びしたり、逆に真っ暗になったり、全然思うように写真が撮れないという経験があると思います。
マニュアルの場合、絞り、シャッタースピード、ISO感度をすべて自分で決めるため、設定が複雑になり、どうすれば良いかわからなくなるのではないでしょうか。
無数の組み合わせの中から最適な設定を探すのはとても大変です。
このようにマニュアルの迷宮にハマるのは、基準がないことが原因です。
きちんと基準を設定し、仕組みを理解した上で設定すれば、マニュアルは意外と簡単です。

設定の基本的な考え方

マニュアル設定をするときは、まず基準を決め、そこから何段階ずらしたかによって、設定を決めていきます。
ここで基準にするのは、いつも自分が撮影する環境で、適切な明るさになる設定です。
例えば、F5.6, SS 1/100, ISO 400で適切な明るさで撮影できたとしたら、この設定を覚えておきます。
そして、ダイビング開始時はいつもこの設定からスタートし、そのときの状況や撮影意図に合わせて変えていきます。
もし、ふんわり系の写真が撮りたいから、絞りをもう少し開放にしたい場合、F5.6からF3.5というように、F値を小さくします。
このとき、他の設定を変えないと、明るすぎる写真になり、白飛びします。
明るさを変えずに撮影するには、同じ分だけ他の設定を変えます
この「同じ分だけ」というのを理解するのが大事です。


絞りやシャッタースピードは、カメラで設定を変えるとキリの悪い数字で変わっていくことに気づくと思います。
カメラの設定にもよりますが、下記のようになっているのではないでしょうか。

絞りやシャッタースピードを変えるとき、カメラのダイヤルを回して変えていくと思いますが、ダイヤルをカチッと1ステップ動かすと、上の表で1つ隣に移動することになります。
例えば、今の絞りがF5.6で、絞りを設定するダイヤルを1ステップほどマイナス側に動かすと、F5.6からF5.0になります。
絞り(F)、シャッタースピード(SS)、ISO感度を変えると明るさが変わりますが、上の表で、絞りを1つずらすのと、シャッタースピードを1つずらすのは同じ分だけ明るさが変化します。

例えば、F5.6, SS 1/100, ISO 400でちょうどいい明るさの場合で、絞りをF5.6からF5.0に変更すると、少し明るくなりますが、絞りをF5.6のままで、シャッタースピードを1/80に変更しても同じくらい明るくなります。
逆にすれば、同じ分だけ暗くなります。
このことがわかれば、明るさを一定にしたまま、自由に設定を変えることができます。

F5.6, SS 1/100, ISO400を基準として
絞りをF5.6からF5.0に変えると1ステップ分明るくなる
絞りは変えず、シャッタースピードを1/100から1/80に変えた場合も、同じように1ステップ分明るくなる

絞りを変える場合の例

例えば、F5.6, SS 1/100, ISO 400でちょうどいい明るさの場合で、明るさはこのまま変えたくないけど、ふんわりした感じの写真にするために背景をぼかしたいと思って、絞りをF5.6からF3.5に変えた場合を考えます。
表でいうと、4ステップ分動かしたことになります。
このままでは明るすぎて白飛びするので、シャッタースピードかISO感度を暗い方に同じ分だけ動かします。
どちらを動かしても効果は同じなのですが、ISO感度はなるべく低い方が画質が良いので、ISO感度を下げます。
絞りを4ステップ分明るい方に動かしたので、ISOを4ステップ分暗い方に動かしてISO 160にすると、明るさとしてはプラスマイナスゼロになって、
絞りを変える前と同じ明るさの写真になります。
明るさは同じだけど、絞りを変えたことで背景がぼけるふんわりな写真にできます。

絞りをF5.6から3.5に4ステップ変更
ISOを暗い方に4ステップ変更してバランスを取る

シャッタースピードを変える場合の例

シャッタースピード(SS)を変える場合も同じです。
F5.6, SS 1/100, ISO 400でちょうどいい明るさだったとして、速く動く被写体をブレずに撮影するために、SSを1/100から1/250に変更する場合を考えます。
SSを暗い方に4ステップ分動かしたので、絞り(F)かISO感度を4ステップ分明るい方にずらします。
どちらを変えても良いのですが、絞りは下げすぎるとぼやけた写真になるし、ISO感度は上げすぎると画質が悪くなるので、両方を2ステップずつずらしてバランスを取るのも良いです。
今回の場合だと、絞りをF5.6からF4.5に2ステップずらし、ISOも400から640に2ステップずらすと、SSを1/100から1/250に4ステップ動かして暗くなった分を補うことができるので、明るさを変えずにシャッタースピードを変えることができます。

ブレないようにシャッタースピードを4ステップ上げる
絞り(F)とISOを2ステップずつ変更してSSで暗くなった4ステップ分を補う

もし、普段より暗めに撮影したい場合、4ステップ分すべて相殺しなければ良いです。
上の例だと、シャッタースピードを4ステップ分暗くしましたが、ISOを2ステップずらすだけにして、絞りは変えなければ、2ステップ分暗くなるので、いつもの基準の明るさより暗い写真が撮影できます。
明るい写真を撮りたい場合は、逆に明るい側に大きくずらせば良いです。

まとめ

実際に撮影するときは、表はありませんが、基準に対してカメラのダイヤルをカチッと何ステップ動かしたかということだけ数えておけば、それと同じ分だけ他の設定を変更すれば良いので、表を覚える必要はありません。

  • 基準を決める
  • 撮影意図に合わせて、絞りかシャッタースピードを変える
  • 他の設定を同じ分だけずらす

ということさえ覚えておけば、マニュアル設定は簡単です。
マニュアル設定をマスターすれば、様々な状況に対応でき、撮りたい写真が撮れるようになるので、ぜひやってみてください。

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