Lightroom・Photoshop 水中撮影

なぜ水中写真でレタッチが必要なのか

この記事では、水中写真におけるレタッチについて紹介します。

この画像は、ストロボが不調で使えず、ライトだけで撮影した画像です。
フォーカスのためのライトで演色性が低いので、青っぽい写真になっています。
限られたダイビング時間の中でカメラの設定でホワイトバランスを調整するのは難しく、レタッチがなければ失敗写真として諦めるような状況ですが、レタッチで復活しました。

レタッチとは?

レタッチとは、Lightroomのようなソフトで写真に手を加えることです。
トリミングや、色、明るさを変えるなどの調整を行います。
レタッチの詳しい説明は、検索したらいくらでも出てくると思うので、ここでは説明を省略し、水中写真におけるレタッチの重要性について説明します。

「撮って出し」信仰は本当に正しいのか

レタッチを行わず、撮影時の画像そのままの状態を「撮って出し」といいます。
水中写真は、ネイチャー写真の要素が強いため、手を加えない自然のままの状態を見せた方が良いという考えもあり、レタッチを嫌う人もいます。
でも、この「撮って出し」は本当に手を加えない自然のままの状態なのでしょうか
撮って出しの画像は、JPEGのファイルとして保存されますが、カメラのイメージセンサーはJPEGよりもっと多くの光の情報を捉えています。
このイメージセンサーが受け取ったままの光の情報がRAWデータです。
でも、RAWデータは光の情報のため、そのままでは映像として見ることができません。
そのため、RAW現像と呼ばれる処理を行うことで、JPEGのような画像データに変換します。
このときに、レタッチで行うような色や明るさの調整が行われます。
撮って出しのJPEGの場合も、カメラ内でレタッチ(RAW現像)が行われています
このRAW現像の処理はカメラによって変わるため、同じものを同じ設定で撮っても、カメラによって色や明るさが変わってきます。
つまり、「撮って出し」といっても本当に見たままの自然な状態を画像にしているのではなく、カメラによって作られた画像なのです。
この処理をカメラ任せにせず、自分でやるのがレタッチ(RAW現像)です。
レタッチを行うということは、自分の作品を見つめ、丁寧に仕上げるということなのです。
たとえ撮った瞬間失敗だと思ったものでも、手間をかけて丁寧に仕上げることで、自分だけのお気に入りの作品にすることができます。
レタッチは自然の姿をごまかすというネガティブな行為ではありません。

水中写真でレタッチが必要な理由

レタッチを行う理由は様々ですが、特に水中写真においては次のような理由から、レタッチが必要になります。

  • 光に制約がある
  • 撮影のチャンスが限られている
  • 生物にやさしい

光に制約がある

陸上であれば、日中は明るく、光の三原色がすべて含まれた光の下で撮影できますが、
水中では水に遮られて暗くなり、赤い光が失われた青っぽい色になります。
このため、人工的な光がないと本来の色は再現できません。
しかし、ストロボのように強力な光であっても水に遮られて遠くまでは届きません。
水中という厳しい環境に持ち込める機材も限られます。
このような状況においては、目で見た光景と撮影した写真にはギャップが生まれ、感動が伝えられないという状況になります。
自分が見て感じたままの感動を表現するためにはレタッチが必要になります。

撮影のチャンスが限られている

ダイビングは時間の制約があるため、自分が納得する構図、明るさの設定で撮影時に完璧に仕上げるのは非常に困難です。
また、動きの速い生物の撮影では構図を気にしている余裕はありません。
特にめったに出会えないレアな生物であれば、撮影時に完璧な作品として仕上げるよりも、とにかくピントの合ったレタッチ素材として「使える」写真を残すことを優先するべきです。
限られた時間、チャンスを無駄にしないために、レタッチで補える部分は気にせず、撮影時にしかできないことに集中することで、良い作品を撮ることができます。

生物にやさしい

レタッチをまったくせずにインスタ映えするようなきれいな写真を撮るには、生物になるべく近づき、強い光を当てる必要があります。
近づけない生物は、トリミング前提で撮影したり、光に敏感な生物はレタッチで明るさを補正する前提で撮影することで、生物へのストレスを減らすことができます。
生物を逃がしてしまう可能性も減らせるので、自分だけ撮影して一緒に潜っているダイバーは撮影できなかったということも少なくなります。
レタッチは生物にも人にもやさしいのです。

きれいな写真にする以外のレタッチのメリット

レタッチは写真をきれいに仕上げるのが目的ですが、それ以外にもメリットがあります。

  • 撮影に集中できる
  • 写真がうまくなる

撮影に集中できる

写真には、撮影時にしかできないことと、後でレタッチで調整できることがあります。
撮影時にしかできないことは、主に画角に被写体を入れることと、ピントを合わせることです。
それ以外は、ある程度はレタッチで何とかなります。
もちろん、構図、色、明るさも撮影時に完璧にできれば理想的ですが、自分も被写体も常に動いている水中では、ピントを合わせるだけでも難しいです。
ある程度レタッチを想定して撮影することで、撮影時だけにしかできないことに集中できます。

写真がうまくなる

みなさんは、自分が撮影した写真をどのくらいしっかり見ていますか。
カメラやスマホ画面でパラパラと眺めるだけという人もいると思います。
特に失敗した写真は一瞬で「二度と見ない写真」になるのではないでしょうか。
レタッチをするようになると、1枚の写真に何時間も向き合うこともあります。
パソコンの画面で拡大して細部までチェックしたり、構図をミリ単位で調整したり、明るさの微妙な違いを気にしたり。
レタッチは、撮影時にうまくいかなかったところを補う作業なので、レタッチで加えた処理というのは、自分が撮影時にできなかったことということになります。
こうして自分の写真に向き合い、何が良くなかったのか、失敗の理由を考えることで、撮影の復習をすることになり、それが次の撮影に活かされます。
レタッチを極めるほどにレタッチの必要ない写真が撮れるようになるのです。

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