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ストロボで止める! シャッタースピードとストロボの関係

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動いている被写体を止まっているように撮影したい場合、まず思いつくのはシャッタースピードを速くすることだと思いますが、シャッタースピードが遅くても、ストロボを使うことで止まっているように撮影することができます。

この記事では、なぜストロボを使うと被写体を止めることができるのか、実際の写真を使って紹介します。
実は、ストロボの発光方法には、先幕後幕というのがあり、どちらを選ぶかによって写真の見え方も変わります。

この記事を読めば、ストロボとシャッタースピードの関係が分かり、カメラの設定を決めるときの参考になります。

ストロボで止めた例

ダイビングでは、海水の動きによって自分も被写体も常に動いている状態になり、完全に固定するというのは難しいです。
このため、通常は遅いシャッタースピードで撮影するとブレてしまいます
しかし、下の写真は、シャッタースピードが1/50と遅く普通ならブレるところですが、ブレているように見えないと思います。
これは、ストロボを使って止めているからです。

シャッタースピード1/50

一見すると、止まっているように見えますが、拡大してよく見ると、少しブレていて確かに動いていることがわかります。


ストロボで止めるとは?

では、具体的にストロボで止めるとはどういうことか、説明します。
遅いシャッタースピードで動いているものを撮影すると、ブレた写真になります。
下の写真は、どちらも1/10という非常に遅いシャッタースピードで撮影したものです。
1枚目が静止している状態、2枚目が動いている状態です。
動いていると何が写っているかわからないくらいブレています。

静止状態
動いている状態

ストロボなしで撮影すると、このようにブレた写真になりますが、ストロボを使うとブレずに撮影することができます。
下の写真は、同じシャッタースピード1/10でストロボを使って撮影した写真です。

ストロボあり シャッタースピード1/10

動いていると思えないくらい止まって見えます。
でも、拡大してみると少しブレていて、確かに動いていることがわかります。
目に映った光が流れていて動いているのがわかると思います。

拡大写真

なぜストロボを使うと止まって見えるかというと、ストロボの発光時間は1/200以下と短いからです。
ストロボが光っている間だけ写るような設定にすることで、シャッタースピードが遅くても止まっているように撮影することができます。

ストロボで止める方法

ストロボで止めるのは簡単です。
次の2つの手順で撮影するだけです。

  • ストロボなしでは何も写らないほど暗い設定にする
  • ストロボを使って撮影する

ストロボなしでは何も写らないような暗い設定にすることで、ストロボが光っている間だけ写真に写ることになります。
たとえカメラのシャッタースピードが1/10と遅い設定だったとしても、ストロボは1/200という短い時間しか発光していないので、写真には1/200の瞬間だけが写ります。
下の写真が、暗い設定にしてストロボなしで撮影した場合です。
真っ暗で何も写っていないように見えると思います。

ストロボなしでは写らないほど暗い設定

この暗い設定の状態で、ストロボを使って撮影すると下の写真のようになります。
カメラのシャッタースピードの設定は1/10ですが、ストロボが1/200以下という短い時間しか発光しないので、実質1/200以上のシャッタースピードで撮影しているのと同じことになります。
このように、ストロボを使うことで、遅いシャッタースピードでも止まっているように撮影することができます。
特にマクロ撮影では、ストロボの光が写真の画角全体に届くので、遅いシャッタスピードでもほとんどブレがわからないように撮影できます。
環境が暗く、どうしてもシャッタースピードを早くできない場合に有効です。



先幕と後幕

動いている被写体をストロボで止める方法を説明しましたが、ストロボの発光方法には先幕シンクロ後幕シンクロという2つのパターンがあります。
ストロボをどのタイミングで発光させるかということなのですが、カメラの設定で変えることができます。
遅いシャッタースピードにする場合は、この設定も意識する必要があります。

先幕シンクロは、シャッターが全開になった瞬間にストロボが発光します。

先幕シンクロ

一方、後幕シンクロはシャッターが閉じ始める直前に発光します。

後幕シンクロ

なぜこの設定が重要かというと、写真に写る被写体の軌跡が変わるからです。
前の項で説明したように、ストロボなしでは全く何も写らないほど暗い設定で撮影した場合はあまり気になりませんが、魚が動く躍動感を表現するために、あえて遅いシャッタースピードで撮影して動きの軌跡を残す場合、先幕と後幕の設定が重要です。

下の写真は、前の項とは違い、ストロボなしでも真っ暗にならず、像が残るくらいの露出(明るさ)設定です。
シャッタースピードは1/10で遅いので、ブレていますが、真っ暗ではなく、何か動くものが写っているのがわかる状態です。

この設定で、先幕と後幕の写真の違いを説明します。

ストロボなし


先幕シンクロで撮影した場合の軌跡

上の写真と同じ設定で、ストロボありで撮影したのが下の写真です。
ストロボなしでも写る設定なので、ストロボが発光している時間以外も写真に写り、動きの軌跡が見えています。
はっきりと写っている部分が、ストロボが発光した時間に写った像で、その横に影のように薄く写っているのがストロボが発光していない間に写った像です。

この写真を見て、多くの人は、このぬいぐるみは左から右にバックするような状態で動いていたと思うのではないでしょうか。
でも、実は、このぬいぐるみは右から左に前に進むように動いています。
なぜこのようになるかというと、先幕シンクロで撮影しているからです。
先幕シンクロは、シャッターが開いた瞬間に発光するので、先にストロボの光を受けたはっきりとした像が写真に写り、その後にストロボがない状態の薄い像が残ります。
泳ぐ魚を撮影するときにこんな状態だと不自然ですよね。
そこで、後幕シンクロが必要になります。

後幕シンクロで撮影した場合

下の写真は、上と同じ設定で後幕シンクロで撮影した写真です。
影が後ろに伸びていて、ぬいぐるみが右から左に進んでいるのがよくわかる写真になりました。
後幕シンクロは、シャッターが閉じる直前に発光するので、先にストロボなしの薄い像が写り、最後にストロボありのはっきりした像が写ります。

何気なく使っているストロボでも、設定を変えることで、ずいぶん違った印象の写真になります。
自分が撮りたい作品の意図に合わせて設定を変えることで、作品の幅が広がると思うので、いろいろ試してみてください。

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