撮影でもっとも大切なのは、カメラを固定することです。
特にマクロはちょっとしたブレが作品に大きく影響するので、カメラをブレずに保持できるかが重要になってきます。
そのためには、カメラの水中重量をできるだけゼロにする必要があります。
この記事では、自宅で簡単にできる水中重量の調整方法を紹介します。
この記事を読めば、水中重量をほぼゼロの中性浮力状態にすることができ、撮影が格段に楽になります。
ハウジングの水中重量の算出方法
水重重量をゼロにするには、フロートを取り付けて軽くしますが、まずは普段使っているハウジングが水中でどのくらいの重さになっているか知らないと始まりません。
でも、海に持って行って測定することは難しいので、どうすれば良いかわからないという方もいるのではないでしょうか。
次の手順で測定すれば、自宅で水中重量を計算することができます。
陸上重量測定
まず、陸上の重量を測定します。
普段使っているハウジングにストロボ等の撮影に使う機材をすべて付けた状態で、重量を測定します。
このフル装備の状態のハウジングで重量を測定します。
測定には、下の画像のような吊り下げて測定できるはかりが良いです。
旅行用のスーツケースの重さを量るときに使うもので、トラベル用品として売られています。私が使っているのは1800円でした。
水中重量測定
次に、陸上で量ったのと同じフル装備状態で水の中に入れて測定します。
このときの水は真水で良いです。
風呂に水を溜めて測定してください。
ハウジングだけ水中に入れて測定する必要があるので、上の画像のような吊り下げて測定するはかりが必要になります。
海中重量計算
上で測定したのは真水に入れたときの重量なので、ここから塩水に入れたときの重量を計算します。
計算式は次のようになります。
海中重量 = 陸上重量 - (陸上重量-水中重量) × 1.023
ここでは、海水の比重を1.023としています。
(陸上重量-水中重量)が真水での浮力を表していて、比重が1.023なので、海水では浮力が1.023倍になります。
この1.023倍した浮力を陸上重量から引くことで、海中での重量を算出することができます。
私のハウジングは、
- 陸上重量:6.97kg
- 水中重量:1.79kg
だったので、海中重量は次のように計算できます。
海中重量 = 6.97- (6.97-1.79) × 1.023
= 1.67kg
ハウジングの水中浮力調整
海中重量が1.67kgだったので、それと同じ浮力のフロートを付ければ水中重量をゼロにできます。
フロートは、フィッシュアイやイノンなどの水中撮影機材メーカーから発売されていますが、フィッシュアイのXBフロートがおすすめです。
XBフロートは、浮力が大きく、浮力違いで複数の商品があるので、調整がしやすいです。
硬い発泡スチロールのような素材なので陸上重量が軽いのも良いです。
水中撮影機材の中では比較的安価なので、複数の種類を買っておいて、用途に応じて微調整するのにも最適です。
私のハウジングは、海中重量が1.67kgだったので、1670g分のフロートを付ければ良いということになります。
- XBフロートアーム660G (浮力660g) 2個
- XBフロートチューブ340G (浮力340g) 1個
を付けると、浮力の合計が
660 × 2 + 340 = 1660g
となります。
水中重量は、
1670 - 1660 = 10g
でほぼゼロになります。
実際には、海水濃度や、水深によるフロートの微妙な浮力変化によって計算から多少ずれますが、この計算方法を目安にフロートを選べば、水中重量をゼロに近づけることができます。
フロートはなるべく左右均等に付けるようにします。
左右のバランスが悪いと、ハウジングを水平に保つために力が必要なので、安定して撮影するのが難しくなります。
また、水中重量はマイナスにならないようにします。
マイナス浮力で浮いていくような状態より、若干重さがある方が撮影がしやすいです。
浮かない程度のぎりぎりの浮力を目指しましょう。
ワイド撮影のセッティングとマクロ撮影のセッティングでは、機材の重さが違うので、フロートも付け替える必要があります。
そういうときにも、XBフロートシリーズは便利です。
浮力違いで複数の商品があり、状況に応じて微調整ができます。
XBフロートシリーズには、フロートのみのものと、アーム一体型があります。
フロートのみのタイプは、持っているアームやランヤードに取り付けて浮力調整ができます。
穴の内径が25mmなので、それ以下の太さのアームなら取り付け可能です。
アーム一体型は、アーム兼用で高い浮力があるのが特徴です。
マクロ設定の場合、アーム一体型を左右に付けて、フロートのみのもので微調整というのが安定します。