目の前を1mの魚が横切っていく。
夢中で追いかけたら、一瞬で消えていきました。
- 大型魚に近づこうとすると逃げられる
- ワイドで撮っても、被写体が小さくしか写らない
- チャンスは一度きりで、やり直せない
このように悔しい思いをした方も多いと思います。
結論から言うと、大型魚にはこちらから向かっていかないことです。
進路を予想して、通り道で待ちます。
沖縄の慶良間諸島で、1mほどの巨大ロウニンアジを撮影しました。
距離は1mもありません。
逆に、動きの遅い被写体を撮る方には当てはまらない内容です。
この記事を読めば、大型魚に警戒されずに寄れるようになります。
実際の接近手順を作例で追いながら説明します。
巨大ロウニンアジに大接近した写真
まずは、今回撮影した写真がこちらです。

外洋のポイントで、根の周りを回遊しているところを撮影しました。
このときの撮影機材
- カメラ:CANON EOS 80D
- レンズ:EF8-15mm F4L Fisheye(焦点距離15mm)
- ストロボ:INON S-2000 2灯
フィッシュアイレンズでこれだけ大きく写るのは、かなり接近している証拠です。
ロウニンアジとの距離は、1mもなかったと思います。
近いのでストロボの光もよく当たっています。
長年生きてきた貫禄を感じる体の模様まで、はっきり分かるはずです。
逃がさず撮影する3つのコツ
近くで撮りたいからと全力でフィンキックして向かうと、魚は逃げます。
ゆっくり回遊している魚は、ある程度進む方向が読めます。
だから待ち伏せが有効です。
ただし、進路をふさぐように正面で構えるのは失敗のもとです。
直前で方向転換して、そのまま逃げていきます。
待つのは、魚の少し上です。
近づいてきたら、真上からストンと落ちていくイメージで接近します。
正面から向かうより、上からの方が魚に気づかれにくいのです。
落ちていくときも、フィンキックは封印してください。
呼吸だけで浮力を調整し、体は一切動かさずに近づきます。
近づくというより、通り道で息を潜めて待つ感じですよ。
どこで待つかを決める
回遊魚は、根の周りをぐるりと回ります。
1周する動きを一度見ておけば、次に通る場所が読めます。
読むときは、他のダイバーの位置も見てください。
魚はダイバーを避けて泳ぐため、その分だけ進路がずれます。
この記事の2つ目の作例が、まさにその状況です。
下にいるダイバーを避ける動きを読んで、待つ場所を決めました。
【実例1】待機から最接近までの3枚
この方法で撮影した流れがこちらです。



【実例2】ダイバーを避ける進路を読む
もう1つ、同じような状況の例です。



下にいるダイバーを避けるように泳ぐ。
その進路を予想して撮影しました。
それでも近づけないことはある
正直にお伝えすると、同じようにしても近づけない相手はいます。
魚の警戒心には個体差があるからです。
ただし、フィンキックで向かって行けば、近づける魚にも近づけません。
これほど接近できた今回のロウニンアジも同じでした。
フィンキックで向かうと、瞬時に方向転換して逃げていきます。
警戒される理由は2つあります。
向かって行くという行為そのものと、バタバタとした動きです。
近づいて撮影するには、動かずに待つのが一番です。
少しだけレタッチで補正
かなり接近できたので、何もしなくても十分に鮮明に写っています。
それでも、少しだけレタッチで補正しました。
やったのは、この2つだけです。
- 構図を整えるためのトリミング
- かすみの除去 +20 / 色かぶり補正 +10


構図調整とかすみの除去で、より迫力のある写真になりました。
接近できていれば、レタッチは仕上げ程度で足ります。距離を詰められなかった写真ほど、補正量は増えていきます。
よくある質問
進路はどうやって予想しますか?
回遊魚は根の周りを回ります。1周する動きを一度見ておけば、次にどこを通るか読めます。
フィンを使わずに、どうやって近づくのですか?
呼吸で浮力を調整します。息を吐けば体は沈むので、その落下だけで距離を詰めます。
中性浮力が安定していることが前提です。
ワイドレンズでないと撮れませんか?
1mまで寄るならワイドが必要です。この作例もフィッシュアイの15mmで撮っています。
寄れない前提なら望遠側が有利ですが、水の層が厚くなるぶん色は失われます。
【まとめ】追いかけずに、通り道で待つ
魚にストレスを与えず、いい写真も撮れる。
みんなが幸せになる方法なので、ぜひ実践してみてください。
次に回遊魚に出会ったら、まず1周する動きを観察してみてください。
追いかけるのは、そのあとでも遅くありません。
>>水中写真の撮り方。撮影で決めること、レタッチで直せることを分けて解説
