ダイビングで見つけた、古いプルタブ。
ゴミだから良くないのですが、歴史を感じてちょっとお宝を発見したような気分になりました。
今回は、そんなプルタブの写真をオールドレンズで撮影したようなレトロな写真に仕上げ、プルタブの歴史を感じる雰囲気にしてみます。
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ダイビングで見つけた古いプルタブ
かつては缶コーヒーや缶ジュースの蓋として一般的だったプルタブですが、最近は見ることがなくなりました。
そんなプルタブをダイビング中に見つけました。
最近は見かけないので、長い年月水中にあったのだと思います。
まずはホワイトバランスを整えて通常の写真に
レタッチ前のプルタブの写真がこちら。
ひどい青被りです。
というのも、このとき持っていたレンズは100mmのマクロレンズです。
ぽつんと落ちているプルタブの雰囲気を近くの流木と一緒に撮りたかったので、広い画角にするためにかなり離れて撮影しています。
ワイドレンズでもっと近づいて撮れれば、青被りもなく初めからいい感じに撮れるのですが、マクロレンズしか持っていないのでしょうがないです。
水中に入ってしまうとレンズ交換ができないのが水中撮影の最大の制約だと思います。
でも、マクロだと撮れないからといって何も撮らないのはもったいないので、透明度を考慮して最大限引いて撮った写真が上の写真です。
今回は歴史を感じるプルタブの雰囲気を出すためにレトロな写真に仕上げるのが最終目標ですが、初めからそこに持っていこうとすると、ゴールを見失ってレタッチの方向性がブレるので、まずは普通の写真にします。
無理してマクロレンズで撮ったことによる青被りを補正するために、ホワイトバランスを調整しました。
設定は、色温度+2.9K, 色かぶり補正+60として、水中で失われる赤味を補う補正にしました。
色褪せた雰囲気に補正する
青被りが補正できたので、ここから本題のレトロな雰囲気の写真にしていきます。
まずは、昔に撮った写真の色褪せた感じにします。
「色褪せた感じ」にするときのポイントは、
- ホワイトバランスでアンバーに染める
- 彩度を下げてレトロに
- マゼンタをのせてフィルム風
ホワイトバランスでアンバーに染める
ホワイトバランスの「色温度」を右側にスライドさせる状態が「アンバー」です。
アンバーとは、写真で色を表す用語で、語源は琥珀色です。
琥珀色なので、黄色っぽい色にするのがアンバーということになります。
ブルーとアンバー、グリーンとマゼンタがそれぞれ反対色で、下の画像のようにホワイトバランスの設定も、
色温度は左側がブルーで右側がアンバー、
色かぶり補正は左側がグリーンで右側がマゼンタ
となっています。
写真をアンバーにすると、懐かしさを演出することができます。
彩度を下げてレトロに
時間から取り残されたような、古い雰囲気を出すために、色褪せた状態を再現します。
色褪せた状態とは、彩度が低い状態なので、彩度を下げることで表現することができます。
マゼンタをのせてフィルム風
シャドウにマゼンタをのせることで、色かぶりした紙焼き写真に似た雰囲気になります。
フィルムっぽいテイストがほしいとき、マゼンタの色をのせるのが効果的です。
シャドウにマゼンタをのせる方法は、「カラーグレーディング」でシャドウをマゼンタ方向に少しシフトさせます。
やりすぎるとわざとらしくなるので、画像を見ながら加減してください。
設定値は次のようにしました。
- 彩度-15
- 色温度+2.4K
- シャドウの色調補正+7
以上の3つの処理をした後の写真がこちらです。
周辺光量補正でオールドレンズの雰囲気を表現
ここまででかなりレトロな雰囲気の写真に仕上げることができました。
最後の仕上げで、周辺光量補正を使ってオールドレンズ風にします。
オールドレンズは、写真の四隅が暗くなった、いわゆる周辺光量落ちが顕著なので、レタッチでその状態を表現します。
やり方は簡単で、「レンズ補正」の「周辺光量補正」をマイナスに振るだけです。
プラスにすると四隅が明るくなって、マイナスにすると四隅が暗くなります。
本来、この補正は、収差補正ができていなくて周辺光量落ちしてしまうレンズで撮影した写真を修整するために使いますが、今回はマイナスにすることで、周辺光量落ちするオールドレンズの雰囲気を表現します。
今回は、おもいっきりマイナスに振りました。
完成
周辺光量補正をマイナスにして完成した写真がこちら。
色褪せた昔の写真の雰囲気が表現できたと思います。
ただ、水中写真っぽくなくなったなと感じました。
本当は、背景に海の青を少し入れた構図にして、水中であることも表現したかったのですが、マクロレンズだとそこまで広い範囲を写し取ることができなかったです。
とはいえ、この写真の流木とプルタブの対比は気に入っています。
プルタブは最近見かけないので、長い年月が経っているはずですが、アルミのプルタブはさびることもなく、意外ときれいでした。
それに対して、流木はたくさんの付着物もあり朽ちていく様子がわかります。
人工物は何年経っても自然には返らないんだなぁと感じました。
プルタブに懐かしさを感じ、流木との対比で環境問題も感じ、貴重な発見だったプルタブですが、やっぱりゴミはゴミなので、撮影した後は回収して、人間の世界に戻しました。