ダイビングのマクロ撮影で使うレンズとしては、100mmマクロが一般的です。
一眼レフの場合は、EF100mm F2.8Lマクロがよく使われていましたが、EOS R5やR6などのフルサイズミラーレスを使う場合は、断然、RF100mm F2.8 L MACROがおすすめです。
単純にミラーレス用に設計されたレンズだからという理由だけじゃない、RF100mmのおすすめポイントを実際に撮影した写真を使って紹介します。
ダイビング以外でも、植物や昆虫など、本格的なマクロ撮影をする方におすすめのレンズなので、マクロレンズ購入を考えている方は必見です。
この記事でわかること
- 開放F2.8の解像度検証
- RF100mmの最大撮影倍率1.4倍と従来の1倍の違い
- 最短撮影距離で被写体にどこまで寄れるか
- 開放F2.8の美しいボケを活かした作品作り
- ボケ描写を変えるSAコントロールを固定する方法
Contents
開放F2.8の解像度検証
レンズは、一般的に絞りを開放値にするより、少し絞った方が解像度が高くなります。
この考え方で言うと、RF100mm F2.8 L MACROの場合、開放のF2.8で使うより、少し絞ってF3.2やF3.5の方がいいということになりますが、実際のところどうなのか、F2.8で撮影したときの解像度を確認してみました。
F2.8でサラサエビを撮影した写真がこちら。
どうでしょうか。
目にピントを合わせているのですが、まったく甘い感じはないですよね。
開放で撮影したとは思えないくらいキレッキレです。
この写真だけではわからないかもしれないので、目の部分を拡大してみました。
(画像クリックで拡大できます)
等倍以上に拡大しているのですが、高精細に描写できているのがわかると思います。
エビの複眼の1つ1つが確認できるほどです。
海水という邪魔なフィルターがかかっている水中撮影でここまで高精細に描写できるのはすごいです。
ただ、中央の描写が高解像度なのは、わりと当たり前という感じもあります。
周辺まできれいに描写できるかでレンズの実力が試されます。
ということで、写真の隅に被写体を配置して撮影してみました。
これも等倍以上で拡大してみます。
さすがに中央に比べると解像度が落ちますが、それでもエビの複眼の形状が確認できるほど高精細に描写できています。
実際の作品では、写真の隅を等倍以上に拡大して確認することはないので、開放でここまで解像していたら十分です。
ということで、RF100mmは、周辺までキレッキレで、安心して開放F値で使えるレンズだと感じました。
最大撮影倍率1.4倍と従来の1倍の違い
最大撮影倍率というのは、カメラのセンサーに対して、どのくらいの倍率で被写体を撮影できるかということです。
この倍率が大きいほど、小さいものを大きく撮影することができるということになります。
一般的なマクロレンズは、最大撮影倍率は1倍ですが、RF100mmは1.4倍です。
一眼レフ用のレンズのEF100mmマクロは1倍なので、RF100mmの1.4倍は、EF100mmにはない魅力の1つです。
では、1倍と1.4倍でどのくらい違うのか、実際の写真で紹介します。
まず、1倍です。
1倍ということは、36mmのフルサイズセンサーにちょうど36mmのものが収まる倍率ということです。
なので、1倍のレンズでピントが合うギリギリまで被写体に寄って撮影すると、下の写真のように、ちょうど36mmが画面いっぱいに収まる状態になります。
これが、1.4倍だとどうなるかというと、ここまで拡大して撮影できます。
定規だけだとわかりにくいかもしれないので、100円玉を撮影してみました。
全然違いますね。
1倍と1.4倍の違いは大きいです。
マクロコンバージョンレンズを付けなくてもここまで拡大して撮影できると、マクロ撮影の幅が広がります。
これだけでも、従来のEF100mmではなく、RF100mmを買う価値はあると思います。
最短撮影距離で被写体にどこまで寄れるか
最大拡大倍率が高いということは、それだけ被写体に寄れるということです。
では実際に1倍と1.4倍だとどのくらい被写体に寄れる距離に差があるのか、ハウジングに入れた状態で確認してみました。
まずは、1倍の場合。
この距離が従来のEF100mmで近づける限界です。
これ以上近づくとピントが合いません。
RF100mmだと、ここまで寄れます。
少ししか変わらないように感じる方もいるかもしれませんが、ミリ単位で撮影するマクロ撮影において、この差は大きいです。
実際にファインダーを覗きながら、今までの100mmの感覚で撮影していると、「え?まだ寄れるの?」ってなります。
ここで、さらに通称「貴族レンズ」で知られるマクロコンバージョンレンズ「SMC-1」を装着すると、こんなに寄れます。
このように、マクロコンバージョンレンズ「SMC-1」を着けると、被写体に当たってしまいそうなくらい寄れるので、撮影距離の死角はなくなります。
コンバージョンレンズを使うときは、ワンタッチで付け外しができる「フリップレンズアダプター」を使うと便利です。
開放F2.8の美しいボケを活かした作品作り
ここまで紹介したように、RF100mmは開放F値でも高解像度で、最大撮影倍率1.4倍で被写体にしっかり寄れるので、開放で撮影するのが楽しいです。
例えば、こちらのサラサエビ。
普通に横から撮影するとこんな感じですが、体の模様が点々なのを活かして、開放F2.8で撮影すると、下の写真のように被写体で玉ボケを作ることができます。
ダイバーに人気のカエルアンコウでも被写体玉ボケをやってみました。
開放F値でも高解像度なので、ピントが合っているところはしっかり描写されていて、ピントが外れているところはきれいな玉ボケになっています。
今まであまり開放で撮影することはなかったのですが、このレンズは安心して開放で撮れるので、撮影の楽しみ方が1つ増えました。
ボケ描写を変えるSAコントロールを固定する方法
RF100mmには、今までにない新しい機能として、ボケ描写を変えるSAコントロールというのがあります。
でも、正直なところ、これはあまりいらないです。
陸で撮影するときに変えて楽しむのはいいですが、水中では変更できないので、使うことはないです。
私がこのレンズを購入する前に気になったのは、SAコントロールは使わないけど、「使わない」が本当にできるか?ということです。
ハウジングにカメラをセットするときなどにうっかりリングを回してしまい、意図せず変わってしまわないか気になっていました。
そして、実際買ってみてわかったことは、「ロック機能があるから問題ない」ということです。
リングを回すと、0の位置で少し引っ掛かりがあり、一旦止まるようになっているので、正確に0の位置に設定することができます。
この状態で、ロックしておけば、SAコントロールなしの状態でキープできます。
ということで、SAコントロールは、使わない人にも優しい設計になっていて、安心です。
RF100mm F2.8 MACROのおすすめポイントまとめ
フルサイズミラーレス用の本格マクロレンズRF100mm F2.8 MACROのおすすめポイントを紹介しました。
おすすめポイントは下記です。
- 開放F2.8でも高解像度
- 最大撮影倍率1.4倍で大きく撮れる
- 被写体に寄れる
- 美しいボケ描写を活かした作品作りが楽しい
R5やR6などのフルサイズミラーレス機は、アダプタを使えば一眼レフ用のEF100mmも使えますが、もしEF100mmの方が安いからと迷っている方は、絶対に少しがんばってRF100mmにした方がいいです。
この記事で紹介したように、RF100mmはとてもいいレンズなので買って損はないです。
さらに、今後は一眼レフ用のEFシステムは終焉を迎えることが予想されます。
Canonの新製品はフルサイズミラーレスに移行しているので、EFレンズは過去のものになり、RFレンズへの入れ替えが進んでいきます。
そうなると、EFレンズはリセールバリューも低くなるので、今から買うのにEFレンズを選ぶというのはおすすめできません。
高性能で今後も長く使っていけるRF100mmがおすすめです。
そして、何よりいい写真が撮れるので使っていて楽しいです。
ぜひこの記事を読んでいる方も実際に使ってこのレンズのすばらしさを体感してほしいです。